【国会図書館】工政7月号(1927年刊・通巻92号)

国会図書館で廃レールのことを調べていたところ、輸入レールについて詳しい記述のある上記の雑誌を発見しました。

工政 (7月號)(92)

[国立国会図書館デジタルコレクション]

雑誌”工政”について

この工政という雑誌ですが、工政会という団体が発行しています。発足は1918年ということです。日本の工業を進歩させるために指導的立場の企業や技術者が参加していた会ということで、その広報誌として雑誌”工政”が発行されていたようです。

レール特集

表題の1927年7月号に”銘記に映ずる軌條商工史”という記事が掲載されています。19世紀末から20世紀初頭にかけて世界的に輸出入されたレールの製造元やその性質から、世界の鉄鋼史の一部を見てみるという趣旨の企画です。

執筆者は”麗流学人”という人物で、これはおそらくペンネームだと思います。「レールを学ぶ人」という意味の洒落で名前を決めたのではないかと思います。国会図書館デジタルコレクションの検索機能でも、この記事以外では名前が確認できませんでした。

記事の方は18ページにも及ぶ長いもので、世界に流通した主要なレールの刻印やその製造元、どのようにしていつ、どのくらい日本に輸入されたかが詳しく書いてあります。駅周辺で見つかる廃レールの刻印も、この記事の記述と照らし合わせれば出身地が詳しく分かるかもしれません。

他にも製造国の鉄鋼業事情やレールの成分組成についても触れられており、書いた方は実際どなたなのか分かりませんが、鉄鋼業界や鉄道業界に非常に明るい方なのではないかと思います。

広告ページも面白い

工業系の雑誌なので広告ページは有名な企業の広告が多数入っています。鉄道関係で言うと汽車製造や新潟鐵工所の広告を見つけました。銭高組など現代でも存続している老舗企業の広告もあります。

昔のテイストなのか、広告のキャッチコピーが「外国製に勝る○○」や「革命的製品なる○○」などと直球なのが面白いです。変わったものだと「敢えて専門各位のご批判を乞う」や「[製品名]を使用せられよ」といったものもありました。こういった当時の雰囲気が感じられる情報が見られるのも国会図書館デジタルコレクションの面白いところです。

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