以前上信電鉄で下仁田駅まで行った時に、駅の周辺で2種類の廃レール構造物を発見しました。1つが架線柱で、もう1つが鉄柵です。
国会図書館で見つけた1900年前後の廃レール輸入事情の記事も参照しつつ、写真を再度確認してみました。
架線柱(バーロー社製)

駅の周辺にたくさんある緑色の架線柱はイギリスのバーロー社製のようです。刻印は
BARROW STEEL Sec166 1894 N. T. K.
と読み取れます。製造年は読んでの通り1894年で、末尾のN.T.K.は当時の発注者の日本鉄道株式会社を表しているようです。今の高崎線と両毛線は日本鉄道株式会社時代に開業した路線だそうなので、近隣の路線で使われていたものが転用されたものかもしれません。
上記雑誌の記事によれば1894年頃まで盛んに輸入されたということです。
鉄柵(ドルトムント・ウニオン社製?)

鉄柵の刻印は
UNION 1922
という部分だけ読み取れました。鉄柵に加工されているために長さが短く、先頭から終わりまで刻印が完全に読み取れなかったようです。
上記の古い雑誌の記事を参照するとUNIONという名前から見てドイツのドルトムント・ウニオン社が製造元のようなのですが、刻印は”UNION D”という刻印だそうです。このレールはUNIONとだけ刻印がされています。
上記記事によれば1885年から輸入が開始され、一度の中断を経て1900年代初頭に輸入が終了したとされています。この点について刻印と情報が一致しないのが謎です。また、輸入中断前と輸入再開後で成分組成が大きく変わっているということです。