以前から山梨県道37号に興味があり、そのうち行ってみようと思っていました。
山梨県道37号は山梨県早川町の中心を通る道路で、終点は南アルプスの麓になっています。
終点が他の国道や県道とは連絡していないため、行き止まり路線になっています。
(厳密に言うと林道などで連絡しているところがありますが、常時通行可能な状況にはないようです)
行き止まりの県道は山間部ではよく見かけますが、この路線の面白いところは起点から行き止まりまでが30㎞以上もあるところです。
ルートはこんな感じで設計しました。
起点から行き止まりまでが長い関係で、この路線だけで距離が70㎞近くになってしまいます。
甲府駅から自走して行くこともできそうですが真夏の甲府盆地できつそうですし、とりあえず電車で近づけるだけ近づこうということで身延線の鰍沢口駅からスタートとなりました。
最寄りの駅は波高島になりますが、そこまで行くと本数の少なさに起因する乗り継ぎのロスが大きすぎるので、ここからのスタートです。
【甲府駅での中央本線から身延線への乗り換え】
朝方に東京方面から中央本線で甲府駅に着いた時の身延線への連絡は時間が非常に短いのでご注意下さい。(甲府駅到着前にアナウンスもされますが1-2分くらいです)
階段によるホーム移動はありませんが、ホームの前後位置が大きくずれているため中央本線の先頭に乗ってしまうと間に合わない可能性があります。
身延線への乗り換えをする場合は、中央本線の一番後ろの車両に乗っておくのがオススメです。
鰍沢口を出たらまずは笛吹ラインこと県道9号を南下します。
富士川右岸に国道52号がありますが、あちらは幅員や交通量からあまり自転車向きではないと思うので左岸側を進みます。
そのまま走っていると小さい山を1つ越えて下部温泉に出るのですが、今回は横着して峡南橋東詰交差点の1つ先の分岐で右に入りました。
Googleのストリートビューで見る限り走っても問題なさそうな道路が左岸沿いにあったためです。
ちょっと狭いですが静かな山道という感じで楽しんで走れました。
注意点としてはまず途中に短いながら15%近い坂が1ヶ所ある点です。もう1点は地元の方が利用しているので、対向してくる交通に注意という点です。
かなりくねくねしていて見通しが利かないので、ライトの点灯などで目立っておくのも良いと思います。
こんな感じの林道風の道です。
飯富橋という橋を渡って富士川右岸に移ると、国道52号は2kmくらいで済みます。
県道37号が始まる上沢交差点付近にはコンビニが何軒かあるので、補給をしておくといいと思います。
上沢交差点です。
この県道37号は認定区間自体は30㎞どころでなくもっと長いのですが、南アルプスの環境保護のため途中の奈良田温泉というところから先はマイカー規制がかかっています。
自転車も規制の対象です。
一般の人がその先に行く場合は専用の乗り合いバスを利用することになるそうです。
道路は基本的に路面、幅員ともなかなか良く、快適な緩い登り坂が続いていきます。
途中の早川中学校付近です。折り返し地点の奈良田までは18㎞となっています。
ここには自動販売機と貴重なトイレがあるので事前に場所を確認しておくといいと思います。
県道37号にも当然ハッピードリンクショップがあるだろうと思って身構えていましたが、予想に反してハッピードリンクショップはありませんでした。(見た限り)
早川中学校を過ぎると登りがやや本格的になってきます。
地学の授業なんかに出てきますが上流に行くほど石が大きくなります。奈良田手前では巨石だらけになります。
この県道37号は糸魚川-静岡構造線という巨大断層沿いに走っています。
断層沿いゆえか土砂崩れの痕跡を多数確認することができます。
典型的な例です。
これは土石流が道路を横断した痕跡と思われる場所です。きれいに片づけられていますが…
上流側を見るとこんな感じです。砂防堰堤がなかったらもっと大変なことになっていたと思います。
対岸に林道らしい道路が見えますが、土砂崩れで基礎ごと破壊されています。
土砂災害が多いので県道37号も線形改良やトンネル化が結構頻繁に行われているようです。
山間部なので旧道はそのまま通行止めになり、廃道化しているようです。
こちらはトンネルができたので廃道になっている川沿いの区間です。
こちらはロックシェッドができているのですが廃道になっています。”先入車優先”の標識が見えたので恐らく内部に狭いところがあったんだと思います。
橋でも譲り合い通行は難しいですが、ロックシェッドでの譲り合い通行はさぞや大変だっただろうと思います。こちらも立派なトンネルができているので通行止めです。
こちらが折り返し地点の奈良田の駐車場です。登山の方なんかはここに車を止めてバスで山の麓まで移動しているようです。
バスの待合所にトイレと自動販売機があるので助かります。
奈良田にはダムでせき止められた湖があり、標高も相まって真夏でも涼しいです。
帰りは思った以上にしっかり下りになっていてかなり楽です。
ルートラボで見る限りそんなにきつい登りという感じでもないですが、長さもあいまって終盤は大変です。
登った分、帰りはあまり力を使わずに帰れます。
というわけでなかなか楽しめる道路でした。
自転車で行くと交通の便が悪いのがなんですが、そこから来る魅力というのもあると思います。
早川町のWebサイトを見ると「マイカー以外での訪問はあまりお勧めしない」と書いてはありますが、自転車が好きな方なら行く価値ありです。
気が付いた点をまとめておきます。
【走ってみての感想】
・登り口からの標高差は600mくらいだが、距離が長いので大変
・その分帰りは楽
・真夏でも結構涼しい、風が気持ちいいです
・道路の路面や幅員は基本的に十分
・ところどころに滑り止めの縦溝(グルービング工法というんだそうです)が彫ってあるところがあり、ハンドルを取られないように注意
・道中道路工事が多いので予告看板に注意(自動信号による片側交互通行が多いです)
・トンネルは照明がついているが基本的にどこも暗いのでライトは前後とも十分光量のあるものを
・補給は自動販売機であればそこそこ数がある、固形物は事前に調達し携行を推奨
・土砂災害が非常に多いため大量降雨後の訪問は要検討
ちなみに帰りは波高島から電車に乗ろうと思いましたが次の電車まで1時間半もある上に、
波高島駅が改装中でトイレがなかったのでもうちょっと南下して身延駅でゆっくり待たせてもらいました。
台風かなんかで道路寸断で孤立して有名になったのって去年だっけ?
マイカー規制とは言え上ってける先も山で行き止まりの様だし、
そこら中で必要に迫られて道路改良されてることからも結構過酷な土地よね。
孤立で大きく報道されたのは2014年2月の大雪の時じゃないでしょうか。
この道路は文字通り早川町の生命線なのでかなりしっかり作ってあります。
まだ事業決定したくらいの段階らしいですが、町の北側と甲府盆地を直接つなぐトンネルが整備予定なんだそうです。
雪の方だっけか…いずれにしても去年で、そんな昔の話ではないんだよね~。
山行がにもたびたび出てくるところなので走るだけでも色々と努力の歴史と発見が多そうな土地ではあるね。