長野県にはいくつか廃線跡がありますが、そのうちの1つである小諸から東御にかけての布引電気鉄道跡を自転車で見てみました。
布引電気鉄道は1920年代に千曲川の左岸地域の発展を目的として敷設された鉄道だそうです。沿線には集客力のある布引観音もあり、期待された路線だったらしいのですが、想定より利用者が伸びず、わずか数年で休止、廃止に追い込まれてしまったそうです。
戦前に敗戦になってしまった路線なのですが、いくつか痕跡が確認できました。
まずはしなの鉄道の小諸駅からスタートです。当時は国鉄の信越本線で、布引電気鉄道は小諸駅の一部を借りて運行していたらしいです。
少し走ると懐古園入口交差点に出ます。ここで左折すると県道40号なのですが、当時の線路はまっすぐ延びていたようです。現在はかなり規格の良い道路になっています。
ここからは緩やかですがかなり長い下りです。小諸が周辺に比べて標高の高いところにあるので仕方ないのですが、坂が苦手な鉄道には不向きな条件だったろうと思います。
右手に芦原中学校を見ながら左の住宅地に入ります。
このように住宅地の中に当時の線形がそのまま道路になって残っています。引き続き緩い下りが千曲川に向かって続きます。
千曲川に出ました。行き止まりなので右折し、写真奥に見えている布引大橋で左岸側に渡ります。渡った反対側は県道40号です。
先ほどの行き止まりの先に橋脚が見えます。
写真のように橋脚がそのまま残されています。ここが今回の行程のハイライトその1といったところです。
当事は写真奥から手前に向けて線路が延びており、そのまま現在の県道40号に合流するような形だっただろうと推測します。
県道を走っていくと左手に断崖絶壁が見えてきます。その断崖の途中にあるのが布引観音です。
トイレがあるのでサイクリング用途では押さえておきたいスポットです。
県道沿いにプラットホームらしき構造物が残っています。
端っこが斜めになっており、やはりプラットホームであろうことが分かります。ここがハイライトその2といったところです。
当時の線路も現在はこんな感じの快走路になっています。ここから線路はほとんど現在の県道40号と重複するような線形だったようです。
終点だった島河原には東京電力の発電所があります。この発電所の建設にも布引電気鉄道は一役買ったそうです。
しかしながらここから先への延伸はかなわなかったとのことです。
というわけでわずかに10km弱で遺構らしい遺構もそれほどたくさんあるわけではないですが、1920年代の鉄道の痕跡が100年近く経ってもまだたどれるというのは魅力のあるルートです。
単純に県道40号が走りやすいので、小諸へのアクセス路としては国道18号や浅間サンラインより良さそうに思います。サイクリング以外にもオートバイのツーリングなどにも向いた道だと思います。