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Ryzen 7 5800Xによる動画エンコードの速度

CPUをRyzen 7 5800Xに換装してからしばらく経ちましたが、やはり一番速くなったと感じるのは動画エンコードの速度です。

前のRyzen 5 1600X+Davinci ResolveでYoutube用の1080p動画のエンコードを行うと、従来は大体60フレーム/秒くらいの処理速度でした。偶然ですがほぼ等倍くらいの処理速度だったので、15分の動画をエンコードするのには15分かかるといった状況でした。

現在のRyzen 7 5800X機では90フレーム/秒くらいの速度でエンコードを行うことができます。大体動画の長さの2/3程度で処理が終わるので、15分の動画であれば10分ちょっとで完了ということになります。やはりCPUが強化されると結構変わるものだと思います。

Davinci Resolveの場合、有償版のDavinci Resolve StudioだとGPU処理のされ方が違うという(よりGPUが有効活用される=速くなる?)話をよく聞くので興味はあるのですが、残念ながら体験版などはないのでちょっとお試しというわけには行かないようです。しかも私の環境の場合はRadeonなので、この点がどういう結果になるかも何とも言えません。

そういったわけでベスト中のベストとは言わないまでも、かなりエンコード時間が短縮されたのでこの点は大変満足です。

Ryzen7 5800Xの温度

年始にX570チップセット+Ryzen5000シリーズにPCをリニューアルしてからしばらく運用しています。動作中の温度は簡単に確認していましたが、稼働中の推移や負荷をかけた状態での挙動をよくチェックしていなかったので、改めてチェックしてみました。

CPUと冷却装置の設定

Ryzen7 5800Xは特にオーバークロックなどは行わずデフォルトの設定で運用しています。クロックスピードはベースクロックが3.8GHz、最高で4.7GHzとなっています。

冷却装置はウォーターブロックがEK-Supremacy EVO AMD – Nickel、ラジエータがBlack Ice SR2 360 MP、ラジエータファンはNoctuaのNF-P12x2基です。3基ファンを付けてしまうと冷却能力がありすぎるので、360サイズのラジエータに2基ファンを付けています。

ファンコントロールはCPUの温度に応じて60℃で最高回転数になるように設定しました。

実際の温度

ちょっと悩むのがCPUの温度として取得できる値が複数あることです。HwinfoではCPU(Tctl/Tdie)という値と、CPU(Tdie)という値があります。

このうちCPU(Tctl/Tdie)はUEFIが”CPUの温度”として検出する値で、実際の温度に対して高めのオフセットが設定されているそうです。つまり、実際の温度より常に高めの温度が出ることになります。一方のCPU(Tdie)は測ったままの温度だということです。CPU(Tctl/Tdie)のオフセットは定数ではなく、低い温度では少なく、高い温度では多めに設定されているように見えました。

各種IT系のニュースサイトでもどちらを基準とするかバラつきがありますが、一応バッファも込みで今回のエントリではCPU(Tctl/Tdie)をCPU温度と見なして書いていこうと思います。

室温18-19℃でアイドル時のCPU温度は28℃前後というところでした。ベースクロック3.8GHzでありながらこの値はなかなかのものだと思います。

動画エンコードで負荷をかけてみると温度は60℃台中盤くらいまで上がりました。最高でも70度には達さず、多少の上下をしながら60℃台で均衡するような挙動でした。Ryzen Masterの設定によればCPUの熱許容限度は90℃らしいので、部屋が寒いとは言え問題なく運用できそうな感じです。

雑感

前のRyzen5 1600Xに比べて多少TDPが上がっているのでどうかなと思いましたが、実際運用してみるとほぼ違和感なく使える印象でした。

さすがに動画エンコードなどで連続的に負荷がかかると多少ラジエータの冷却ファン音が気になりますが、十分許容範囲の騒音でした。240サイズのラジエータを使用した水冷システムなら安定した運用ができるのではないかと思います。

Geforceがドライバでマイニング効率を抑制

昨今非IT系のニュースでも半導体不足がしばしば報道されるようになりました。自動車メーカーなど、世界的に展開する企業の業績にも影響があるレベルだということです。

自作PCの世界ではAMDのCPUとNVIDIAのVGAが品不足で話題になっています。VGAの方は仮想通貨の価格上昇に伴うマイニング需要が高まっているからという見方がされています。

そんな中、まもなくRTX3060の発売を控えるNVIDIAは、Geforce用のドライバでマイニング効率を抑制することにより、Geforceシリーズを必要としているゲーマーに行き渡らせるという施策に出るそうです。

GeForce RTX 3060は“ゲーマーに届く”。マイニング性能を半分に制限

[PC Watch]

GeForce Is Made for Gaming, CMP Is Made to Mine

[blogs.nvidia.com]

マイニング用には別途最適化された製品を用意し、需要が分散するようにするとのことです。思い切った作戦だと思いますが、ゲーマー目線で見ると喜ばしいニュースです。

上記NVIDIAのブログエントリの冒頭にある”我々は完璧にゲーマーです。”から始まる下りも、NVIDIAがゲーマーやゲーミング体験を本当に重視してくれていることが読み取れる熱量を感じる文章です。さすがこの分野のトップ企業だと思います。

ASUSマザーボードのM.2 SSD固定用新機構

ASUSの11世代Core向けマザーボードにM.2 SSD固定用の新機構が搭載されるそうです。

ASUS、M.2 SSDをツールレスで固定できる新機構「M.2 Q-LATCH」

[PC Watch]

M.2 SSDは固定するときにかなり小さいネジ(と場合によってはスペーサー)を使うので、組み立て時のちょっとした難所になっていると思います。

こんなサイズです。直径が小さいのはもちろん、首下が短いのでつまむのも結構大変です。

ネジも精密ドライバーでないと回らないくらい小さいので、いざ組み立て始めて精密ドライバーがないので組み立てを続行できなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ツールレスで固定できるというのはそれだけで楽なので、素晴らしい機構だと思います。つまみも普通に指で操作できるサイズなので簡単そうです。

自作PCの世界はパーツ自身の性能の進化も目覚ましいですが、こういった組み立てを楽にしてくれる各種機構にも毎度驚かされます。

先日の組み立てで役に立ったUSB BIOS Flashbackなどは代表的なものですし、POST状態をLEDで知らせてくれる機能や、地味なところではフロントパネルコネクタに差し込むソケットなんかも進化を感じた機構の一つです。

ケースファン交換 (be quiet! Shadow Wings2 140mm)

PCケースのファンを交換しました。元々はNoctuaのNF-P14を使っていたのですが、標題のbe quiet! Shadow Wings2 140mmにしました。

NF-P14は性能バランスも良く気に入っていたのですが、PWM制御ができないので回転数の変動が耳障りなことと、今の環境だと少々性能過剰に感じるところが気になっていました。

今回交換したファンは風量を見ると約半減になってしまいますが、騒音値は19.6dB(A)→14.9dB(A)と大きく減少しました。気になっていた回転数の変動も非常に滑らかで、満足のいくスペックです。

風量部分については今の構成なら恐らくそれほど問題ないと思いますが、暑くなってきてあまりにケース内の排気が良くないようなら回転数のコントロールを変える等のチューニングをしたいと思います。

Ryzen5000シリーズのResize BAR対応

PC Watchさんに興味深い記事が掲載されていました。

AMD、Re-Size BAR対応のRyzen 5000シリーズ向け新BIOSを2月に公開

[PC Watch]

Resize BARは”リサイズできるベースアドレスレジスタ”といった意味合いのようです。

通常、GPUのVRAMへのアクセスは32bitOSとの互換性維持のため、デフォルトではかなり制限されたレジスタによりなされているそうです。

これを対応したマザーボード・GPU・ドライバの組み合わせで拡張できるようにし、メモリアクセスの高速化でパフォーマンスアップを図るというのがこのResize BARだそうです。

AMDはこのテクノロジをAMD Smart Access Memoryという通称で呼んでいます。

AMD Smart Access Memory

[AMD.com]

Resize BARを利用する環境としてはRyzen5000シリーズ、AMD500系マザーボード、Radeon RX6000シリーズ、対応BIOSと対応ドライバが必要になるようです。今回のニュースはこの対応BIOSのリリース予告のようです。

NVIDIAもResize BARの対応を進めており、まずはモバイル向けRTX30シリーズ+IntelまたはAMDの対応CPUの組み合わせで対応できるようになるそうです。

デスクトップ向けではリリース間近と言われているRTX3060からサポートを開始し、3月にはリリース済みのRTX3000シリーズがVBIOSの更新によりサポートを開始するそうです。

GeForce RTX 30 Series Performance To Accelerate With Resizable BAR Support

[NVIDIA.com]

まだ適用環境が限定的過ぎる感じはしますが、もう少しするとサポートされる環境も増えてきて割と身近なテクノロジになるのかなという感じはします。

10年経ったCrucial RealSSD C300(128GB)

引き続き新しくしたPCを触っていたのですが、今回M.2 SSDが2枚差しになったのでどうしようか迷っていたCrucial RealSSD C300(128GB)を改めて搭載してみました。

買ったのは2010年の4月なので優に10年以上経過したパーツです。今回導入したNVMe SSDと比べるとシーケンシャルリードでは10倍近い差がついてしまいますし、今となっては容量128GBのSSDというのは使いづらいスペックになってしまっています。

しかしながら、ほぼ毎日常用される部品で10年以上故障しなかったというのはなかなか優秀だと思います。せっかくなので引き続きクリティカルではない用途で頑張ってもらおうかと思っています。

導入当時の画像です。当時はマザーボードがSATA(3.0Gb/s)だったので、SATA(6.0Gb/s)対応のためあわせてRAIDカードを買っていたようです。しかもこのRAIDカードはうまく動作せず、後日改めて別のRAIDカードを買ったようです。

ASUSマザーボードのBIOSバージョンを起動せずに確認する方法

今回Ryzen5000シリーズを導入するにあたって、BIOSバージョンがどうなっているかについてはかなり気になるところでした。

USB Flashback BIOSでCPU無しでもBIOSバージョンを上げることはできるのですが、とりあえずダメ元で起動させてみて、POSTが失敗したらBIOSバージョンを上げるというのは少々危険が伴うような気もします。

ところが、ASUS系のマザーボードであればマザーボードに貼られたシールから工場出荷時のBIOSバージョンを読み取ることができるそうです。

メーカー出荷時のBIOSバージョンを確認するには?

[ツクモのサポートブログ]

上記記事中ではマザーボード縁となっているのですが、製品によってシールの場所が違うようです。先代のPRIME X-370PROと今回のROG STRIX X-570-Fはメモリスロット横にシールが貼ってありました。

メモリスロットとCPUの間にシールがありました。

これで工場出荷時のBIOSバージョンを読み取れるので、初回起動前にBIOSをどうするかの判断が立てられます。

今回購入した個体はこの情報からBIOSバージョンが古いことが分かったので、初回起動前にUSB Flashback BIOSでBIOSバージョンを上げることにしました。

今まで気にしたことがありませんでしたが、この情報があるとかなり助かります。覚えておこうと思います。

ASUSマザーボードのUSB BIOS Flashback

ASUSマザーボードの一部製品にはUSB BIOS Flashbackというマザーボード単独でBIOSの更新ができる機能が搭載されています。

BIOS更新失敗などの不測の事態に役立つ機能ですが、新CPUがリリースされた時にも便利な機能です。

新CPUとBIOS更新

通常、チップセットがリリースされた後にリリースされるCPUはマザーボードのBIOS更新で追加サポートされます。

このようなCPUを導入する場合、市場に流通するマザーボードのBIOSが更新済みであれば問題ないですが、そうでない場合は販売店に依頼して更新をしたり、更新のためのCPUが別途必要になることになります。

USB Flashback BIOSを使うと、これらの問題を意識せずにマザーボード単体で更新ができるというわけです。

使い方

使い方は非常に簡単で、

  1. USBフラッシュドライブにBIOSのファイルを入れる
  2. ファイル名を所定の名前にリネームする
  3. マザーボードのEATX電源コネクタをメイン24ピン、CPU用8ピン、CPU用4ピンのいずれも接続し、電源ユニットのスイッチをオンにしておく
  4. マザーボードの指定のUSBスロットにUSBフラッシュドライブを差し込む
  5. スロット横のスイッチを長押しする
  6. 更新確認用LEDがしばらく点滅し、消灯したら作業完了

となります。

操作自体は簡単なのですが、本当に作業が進んでいるか心配になるので、USBフラッシュドライブはアクセスランプ機能がある物が良いと思います。

トラブルシューティング

うまく動かない場合、以下の理由が考えられるそうです。

  • BIOSファイルが指定の名前になっていない
  • USBフラッシュドライブがFAT32以外の形式でフォーマットされている
  • USBフラッシュドライブがUSB Flashback BIOS用以外のポートに差し込まれている

ファイル名の間違いが一番引っかかりそうな感じがしますが、現在ASUSが配布しているBIOSファイルはリネーム用のバッチファイルが同梱されており、バッチファイルでリネームすると失敗しにくいようになっています。

まとめ

この機能のおかげで、今回X370+初代Ryzenの組み合わせからX570+Ryzen5000シリーズへの移行がスムーズに行えました。

ASUS以外のマザーボードでも同様の機能を搭載している物があるそうなのですが、マザーボードを選ぶ時にこの手の機能の有無はかなり重要なのではないかと思います。

PCをリニューアルしました

2017年の8月以来にマザーボードとCPUの更新をしました。

現在の構成はこんな感じになっています。かなりのパーツは流用ですが、入れ替えたパーツについてまとめておきます。

  • CPU:      AMD Ryzen7 5800X
  • メモリ:    DDR4-3200 G.SKILL F4-3200C16D-16GTZN
  • マザーボード: ASUS ROG STRIX X570-F
  • 電源:     Owltech SSR-650RM(650W)
  • ストレージ1:  Western Digital WDS500G3X0C(500GB)
  • ストレージ2:  Western Digital WDS500G1B0B(500GB)
  • VGA:     Sapphire NITRO RX570(8GB)
  • OS:                   Windows10 Home 64bit

CPUについて

CPUは当初5600Xを予定していたのですが、5000シリーズの供給がなかなか安定しないのもあってなかなか見つからず、偶然在庫があるのを発見した5800Xにしてしまいました。

TDPが105WもあるCPUですが、360サイズのラジエータを使った水冷システムで冷却するので熱についてはそれほど問題なさそうです。ウォーターブロックはソケットの物理的形状が変わらないので、旧システムのEK-Supremacy EVO AMDを流用しています。

マザーボードについて

マザーボードは旧システムで使用していたPRIMEシリーズにしようかと思っていたのですが、初回起動前にUEFI更新を行う可能性があったため、CPU無しでUEFI更新が可能だというROG STRIXシリーズのものを選定しました。

M.2 SSD用のヒートシンクがマザーボードに最初からインストールされており、M.2スロット2本分をチップセットクーラーと合わせて冷却できるところが非常に良いと思います。

地味なポイントですが、PS/2端子がないマザーボードです。Nキーロールオーバーが必須要件という方は導入にあたって注意が必要だと思います。

ストレージについて

ストレージはM.2 スロットが2本あるということもあるので、NVMe接続のM.2 SSDを1つ導入しました。容量は迷いましたが、既存のSATA接続のM.2 SSDを流用するつもりでいたので500GBということにしました。これでとうとうPCでSATAコネクタを使わなくなってしまいました。

OSについて

実質システム入れ替えになるのでOSは改めてリテール版のWindows10を購入しました。最近はDSP版とリテール版にそれほど価格差がないので、リテール版を買うケースが多いようです。リテール版だとインストールメディアがUSBフラッシュドライブなので、その点もリテール版が選ばれやすいポイントなのかもしれません。

今後について

できればVGAもそろそろ更新したいところではあるのですが、ちょうど良い乗り換え先がないのと全般的にVGAが品不足なのもあって少々困っています。